【未経験・非美大卒】中途からグラフィックデザイナーへの転職の道のり

社会人になって5年目を迎えた頃、急に思い立ってグラフィックデザイナーを目指すことにしました。
デザインとは全く縁のない仕事をしていたので、デザイン業務は未経験。美大卒でもないため、デッサンもろくに描いたことがありませんでした。
そんな私も今年でデザイナーとして4年目を迎えます。
「美大卒じゃないけどグラフィックデザイナーになれるのかな」
「全然違う業界で働いてきたけど、未経験でグラフィックデザイナーを目指せるのかな?」
と迷われている方。
未経験でも、非美大卒でもグラフィックデザイナーになれます。
副業もしやすいので、キャリアチェンジにはおすすめの職種です。
デザイナーは「実力重視」の世界です。
資格や最低経験年数、肩書よりも、ちゃんと勉強して実績を作ることが重要です。
学びながらポートフォリオ(作品集)を作る
デザイナーとして仕事をするためには、デザイナーとしてのスキルや知識が必要なのはもちろんですが、あなたがどんなデザイン制作ができるかという証明が必要です。
その証明が ポートフォリオ=作品集 です。
これは「転職する場合」でも、「副業で個人で仕事を受託する場合」でも必要です。
たとえ実務未経験であっても、ポートフォリオで「今どのくらいの制作ができるのか」を証明できれば、転職もしやすく、個人でデザインの受託もしやすいです。
ぜひ勉強しながら、たくさん制作をしてポートフォリオを充実させましょう。
なお、グラフィックデザイナーの場合、ポートフォリオを印刷してファイリングするケースが多いですが、印刷は費用がかかる上にネットでのやり取りには不便です。まずは「ポートフォリオ サイト」を用意する想定でいいかと思います。
(ただし、転職の場合は会社によっては紙じゃないといけない場合もあるかもしれません。)
ポートフォリオには「他人の依頼をうけて制作したもの」を加えよう
ポートフォリオに載せる作品を用意するにあたっては、自分の好きなものや架空の設定で作るのもいいですが、できれば誰かの依頼をうけて制作することをおすすめします。
デザイン制作では「案件のゴールをしっかり認識し、相手の意図を汲み取り、それをデザインに落とし込む力」が重要です。個人的にはデザインは問題解決だと思っています。アートのように「自己表現」とはいきません。
デザインスクールに通っていても、「架空の設定」で制作することが多いですが、そこは一歩進んで、実際に依頼をうけて作ってみることを強くおすすめします。
(かといって、自分が好きに制作した「作品」がポートフォリオに必要ないわけではありません。自分のデザインスキルの幅を表現する上では重要です。)
友人・知人、仕事関係の人から少額または無料で名刺やチラシの制作を受託したり、クラウドワークスなどのサービスで簡単そうな案件にチャレンジしてみましょう。
友達の「第二の名刺」を勝手に作ってあげてもいいですね。
無料でもいいですが、少額でもいいので料金をいただくことをおすすめしています。対価が発生することで、依頼主と制作側の間に良い緊張感が生まれるからです。
依頼主は、お金を出すからにはどんなものを作ってほしいのか、より真剣に考えてくれる可能性が高まります。(無料だと「タダで作ってもらうのに細かく要望出すのも申し訳ない」「無料ならなんでもいいよ」と思う人もいそうですよね。)
また、制作する側も、「お金をいただく以上は期待にこたえよう」という意識が強くなります。気に入ったら払ってくれ、でもいいかもしれません。仕事として制作する意識を持って取り組めるようにしましょう。
ただ、ポートフォリオをサイト上で一般公開するような場合には、制作物を公開していいか、依頼者の許可を事前にもらう必要があるので注意しましょう。
なお、私の場合はポートフォリオサイトにはパスワードをかけており、都度、見せる必要がある人にのみお知らせし、定期的にパスワードを変更しています。不特定多数の人には見られないように管理するのもポイントです。
勉強は独学でできる?専門学校選びのポイントは?
独学でもできると思いますが、オンライン講座やスクールと組み合わせるほうが効率がいいと思います。
デザインは「感覚的なものを磨く」必要もあります。
「なぜ、この余白のとり方の方が美しく見えるのか?」など、実際の細かな調整段階では感覚がかなりモノを言うからです。
したがって、ベテランのデザイナーに自分のデザインを見てもらいながら「感覚」を磨くトレーニングをしたほうが、デザイン力は格段にアップします。
私の反省と学校選びのポイント
私はサラリーマンを辞めてから1年間、通学型の専門学校に通いました。
学費は140万円。社会人5年目で貯金も大して無かった時分、かなり思い切った額です。
少人数制で一人ひとり、手取り足取り教えることをウリにしていた学校でした。
「せっかくやるなら手厚いほうがいいだろう」と思い、直感でここに決めたのです。
ところが、かなり放任主義を取る指導スタイルで、全然教えてくれないどころか、制作時間中も生徒と雑談ばかりしてまともに質問もできないような状態でした。
通学時間をかけて学校へ行っても無駄だと思うようになり、課題提出の日以外はほぼ自宅で作業をして卒業の日を迎えました^^;(なんとその翌年にそのスクールは潰れてしまいました…。当然といえば当然ですが。)
ということで、
当たり前の話でとても恥ずかしいのですが、事前に、もっとちゃんと学校を比較してから選ぶべきでした。
私が払った金額よりも半額以下で、または半分以下の期間で集中して学べるところはたくさんあります。
私は小さなスクールにいましたが、有名で大きいスクールの方が色んな人が集まるので刺激も得やすいと思いました。少人数だと、なあなあになりやすいです。何より、卒業後のコネクションもとても財産になります。
結局、学校で習うカリキュラム自体はどこも似たようなものです。
それであればサクッと短期間で効率良く学べるところ、もし通学するのであれば受講者同士、刺激を受けられるような環境がいいですね。(3年前の自分に本気で伝えてあげたいです。。。)
ぜひ、色々なところに資料請求したり、見学したり、卒業生の実績を見ながら吟味してみてください。
夜間部、土日集中講座など、短期間または働きながら通えたり消化できるプログラムがあるスクールがオススメです。
私は1年間通ってしまいましたが、ぶっちゃけ1年も「勉強だけ」に時間をかけなければよかったと思っています。これも大きな反省点です。
特に転職組ですと時間もお金も限られてます。。
個人的には、このあたりの大手はチェックしておくと比較しやすいかなと思います。
デジタルハリウッド
6ヶ月コースやオンラインコースもあり。
東京デザインプレックス研究所
夜間や土日集中コースなどもあるので、働きながらも検討可能。
Webクリエイタースクール【デジタルハリウッド STUDIO by LIG】
↑のデジタルハリウッドとWEB業界で有名なLIGが提携したWEB系デザインスクール。個人的にとても興味あるので貼ってます。
中途、未経験のデザイナー転職の選択肢
デザイナーとして転職をするなら、大きく2つの道があると思います。
クライアントからデザイン制作を受託する「デザイン制作会社でのデザイナー」と、
企業内で、その企業のデザインに関することを担当する「インハウスデザイナー」。
それぞれどんな違い・メリットがあるのでしょうか?
簡単に言うのならば、
- 体力あり・気合満々 → バリバリのデザイン制作会社へ!
- 体力ない・激務つらい → 兼務インハウスデザイナーへ!
だと思います。
私は1の「バリバリのデザイン会社」に憧れていたのですが、サラリーマン時代の超ブラック労働がたたり、もはや長時間労働ができない状態になっていました。。結果として「2.兼務インハウスデザイナー」という少し変わったキャリアを歩むことになりました。
王道はデザイン制作会社への就職。激務だけど間違いなく力がつく!
デザインスキルを身につけるのであれば、圧倒的にデザイン制作会社がおすすめです。クライアントから受託してデザイン制作を行うので、色々な案件に関われます。
超有名なデザイナーの巨大事務所や、電○のような広告代理店など、規模も大小様々。デザイン会社は色々な企業の制作案件に関われるし、デザイナーたちが切磋琢磨しているので、デザインスキルを磨くには絶好の環境です。
今は人手不足なので、未経験を採用するデザイン会社はあります。根気よく良い出会いを探しましょう。
ただ、有名な会社ほど入社のハードルが高く、有名美大卒が必須条件の場合もあります。中途入社の人はかなり厳しいかもしれません。どうしても行きたい憧れの会社がある場合は、どこかで実績を積んでから、ステップアップ転職へ挑戦するほうがいいと思います。
印刷屋さんや印刷機のある会社ですと、チラシなどの印刷物デザインに仕事が偏るケースがあるので注意しましょう。
WEBデザインに関連するスキルや経験は必須ですので、WEB関連の案件には関われる環境にいくことをオススメします。
ちなみに、デザイン会社や代理店はかなりの割合で激務の環境です。納期前日の夜に、クライアントからデザイン修正の連絡が来て、翌朝までに納品、みたいなこともあります・・・。
その分、しっかり目的意識を持って働けば、かなりの力がつくはずです。
「本気でデザインをどっぷりやりたい!」という方で体力に自信がある方にはおすすめです。デザイナーのキャリアとしては王道だと思います。
企業のインハウスデザイナーとして穏やかに働く
インハウスデザイナーとは、企業のデザイン担当者です。インハウス=企業お抱え、みたいな意味ですね。
企業の商品や商品パッケージそのもの、WEBサイトや広告などを社員が制作するわけです。
企業によってその担当範囲は異なるし部門の大きさも違います。
インハウスデザイナーは、割と人気があるポジションです。
クライアントからの依頼をもとに制作するデザイン事務所とは違い、「自分の会社をアピールするために、自分でデザインを作れる」、「ホワイトな働き方ができる」ことが多いためです。(もちろん企業によって状況は違うので、一概には言えません。)
中途入社する場合、一定の経験年数が条件になっているケースが多く、未経験者にとっては狭き門です。
オススメは「兼務のインハウスデザイナー」
デザイン会社に行く体力もなく、
インハウスデザイナーになる経験も無かった私が、
行き着いたのが「兼務のインハウスデザイナー」です。
「兼務のインハウスデザイナー」とは会社内で別の業務を担当しながらデザイン制作も兼務するポジションです。
社内にデザイン担当者はいないものの、細かなデザイン制作の業務が発生する、という会社は結構あります。
セミナーのチラシや広告バナー、営業の提案資料など。
外注したり、デザイナーじゃない社員が適当に作ったりして対応しているわけです。
- 外注はお金がかかるから、細かい制作物は自社で内製したい。が、ある程度のクオリティを担保したい。
- かと言って、デザイン専任者を雇うほどデザイン制作の仕事が多いわけではない。
という会社に、○○兼デザイン担当として就職する、という選択肢です。
アシスタント兼インハウスデザイナーとして転職
私は専門学校に通っていたころ、知人の紹介で従業員2名の小さな会社とご縁がありました。
そこはコンサルティング系の会社だったので、会社で主催するセミナーや講演のチラシや冊子を制作したり、お客さんへの提案資料をキレイにデザインする機会が多くありました。
ただ、それを毎回外注すると費用がかかるし、修正の指示出しに時間がかかるので内製化したいとの意向がありました。
とはいえ、デザイン専業の従業員を雇うほどデザイン業務がたくさんあるわけではない。社員が少ないのでデザイン以外の仕事がたくさんある。
そんな話があり、アシスタント業務と兼務でデザイン制作を担当するという条件で入職することになりました。
そこで、色々なデザイン制作を一からすべて自分で担当させてもらえました。
会社のパンフレット、200ページ超えの冊子の台割りからデザイン制作、チラシ制作、新しいサービスのロゴ、セミナー動画の編集等。動画編集ではAdobeのAfterEffectを必死に勉強しました。また時には、外注先のデザイン会社さんと仕事をすることもあり勉強になりました。
大変いいご縁でした。
そこで積んだ実績をもとに、次は社員4名のベンチャー企業へ転職しました。そこでも兼業デザイナーとして入社。会社の名刺、チラシを作ったり、インハウスのWEBデザイナーへのディレクション業務、あとはTVCMのコンテを描いたりと色々な経験ができました。
中途のデザイン転職は自分のキャリアを活かすこともできる
私が兼業デザイナーからキャリアをスタートできたのは、少なからず他の会社でのキャリアがあったからだと思います。基本的な仕事の型は身についていたので、通常の業務ではある程度即戦力になれたのだと思います。
総務や経理、マーケティングなど、特定の部門でキャリアがある方ほど、それとデザインをかけ合わせることで、新たな価値を創出できると思います。
もちろん兼業でやってみて、やはりデザイン一本で頑張りたい!という気持ちになれば、それまでの実績をもとに、専業のインハウスデザイナーや、デザイン会社へ行くことももちろん目指せます。
ただ、未経験からインハウスデザイナーをやる場合には、兼業という選択肢はとても入りやすいのです。
掛け合わせのキャリアが受ける組織もある
デザインx〇〇のような掛け合わせのキャリアは、比較的小さい組織やベンチャー企業など、若い会社のほうが価値をわかってくれるケースが多いと感じます。人材の多様性を求めていたり、縦割りではない目線で仕事をすることを期待するためです。
デザインの勉強をしているうちから副業を始めよう
デザイナーの給料は、特に中途から転職する場合は、そんなに高くはありません。未経験だと新卒レベルの水準になることも十分ありえます。
だからこそ、なるべく早い段階から、副業することをおすすめします。
独学で勉強しながら、「クラウドワークス」などのサイトで実際の公募案件にチャレンジしたり、友人知人にアピールして案件を紹介してもらいましょう。
副業を通じて、自分一人で仕事を取り、仕事を進め、完結する経験を得るのはとても重要です。また、副業で稼いで自信がつくと、転職に対する姿勢にも余裕がでてきます。
また、制作したものが実績として自分のポートフォリオに積み上がるのもポイントです。
副業デザインで年収の25%をカバーしています
私は今、IT系の企業でサラリーマンとして働いており、WEBマーケティングの業務を担当しています。ここでも兼務デザイナーとして、広告のバナー画像などの制作物をよく作っています。
一方で個人でデザインの案件を受託しており、2019年は年収の25%ぐらいを補いました。
生活の質も担保したいので、今は知り合いの紹介による案件のみ受けるようにしています。
副業は自分で働き方をコントロールできるのもポイントですね。
未経験の中途でもグラフィックデザイナーになれる
ということで、未経験の中途でもグラフィックデザイナーになれます。
グラフィックデザイナーになるには、
・激務という修行をしないとムリ
・美大卒じゃないとムリ
・年収低いのは修行だから仕方ない
というわけでもありません。もっと希望はあります(笑)。
掲示板でグラフィックデザイナーになりたい人の相談に対する回答を見ていると、厳しめの声が多いです。プロフェッショナルの方々の意見も分かりますし、スーパーデザイナーの世界は別だと思います。
ただ、色々なグラフィックデザイナーのあり方があってもいいと思います。
私は兼業デザイナーという働き方に、満足しています。
毎日定時で帰って、自分の好きな時間にデザインをやるという生活。自分のデザインがお客さんのお役に立っていて、喜んでもらっているという実感もあります。年収も平均よりは上ぐらいだと思います。
あなたの働き方やデザイナー像によりますが、いずれにしても、これからキャリアチェンジしたい!という方はまずはデザインの基礎を勉強して、手を動かしてみることをおすすめします。
学校に通うのも一つの近道です。通う場合には、まずは資料を取り寄せて、じっくりと比較検討してみてください。